親知らずで顎が痛い…原因は顎関節症かも?治療法の種類も徹底解説
スタッフブログ 2024.07.22
親知らずが原因で顎が痛い、違和感があると悩んでいる人もいるのではないでしょうか。顎に痛みがあると会話をするときや食事中にも集中できなくなり日常生活に支障をきたすことになります。
そもそも、親知らずと顎の痛みにはどのような関係があるのでしょうか。親知らずで顎が痛いときの治療法についても詳しく解説していきたいと思います。
親知らずが原因で顎が痛い理由とは
親知らずが原因で顎に痛みが出てしまう原因には、大きく分けて2通りあります。
・顎関節症によるもの
・歯茎に炎症が起きているもの
具体的にどのような理由で痛くなるのか、それぞれの原因について詳しく説明します。
顎関節症によるもの
親知らずの痛みだと思っていたものの、実は顎関節症が原因となっていることも考えられます。顎関節症は、噛み合わせの悪さが原因となり特定の歯に対して負荷がかかっているときに起こります。
また、親知らずの抜歯をしたあとに反対側の歯に負荷がかかり顎関節症を発症してしまうこともあります。顎関節症になると、ガクガクと外れるような音がすることもありますし、口が思うように開かない、口を開けると痛みが生じます。
ただ、顎関節症は親知らずが要因になるものだけでなく複雑な要因が絡み合って起きています。
噛み合わせの問題だけでなく、生活習慣の問題が関係していることも考えられます。
例えば、猫背や就寝時の姿勢の悪さ、運動不足、片方だけで噛む習慣などが原因となっていることもあります。
また、ストレスが原因で歯ぎしりや食いしばりによる顎関節症の可能性もあるでしょう。
親知らずに原因があるのか、そもそも別の要因で起きてしまっているのかを確認したうえで、適切な治療を行うようになります。
歯茎に炎症が起きているもの
親知らずの周囲には歯が密集しており、一番奥にあることからブラッシングが行き届かないケースもあります。大臼歯や小臼歯の歯のなかに、虫歯や歯周病になっている歯があると菌が浸食してしまい炎症を引き起こしてしまう可能性があります。
なかでも顎骨骨髄炎は炎症が内部にまで侵食している状態になります。
口が開けにくい以外にも、喉に近い範囲に親知らずがあるため飲み込みにくくなってしまうことも考えられます。
親知らずによる顎の痛みがあるときの解消法
親知らずによる顎の痛みがあるときの解消法について、抜歯をするときと抜歯をしないで治療するときそれぞれのケースに分けて解説していきたいと思います。
親知らずを抜歯する
親知らずの噛み合わせが原因で特定の歯に対して負荷がかかってしまっているときは、抜歯してスペースを確保するようにします。特定の歯にかかる負荷を解消することで、痛みを軽減できます。
ただし、親知らずを抜歯したときに腫れが生じてしまいます。
腫れた状態だと口が開きにくくなることがあるのですが、そのまま放置してしまい適切なケアをしていないと、顎関節症になってしまうこともあります。
また、親知らずを抜かずに治療をすればいいのでは?と思うかもしれません。
親知らずに虫歯や歯周病があり他の歯と同じように治療したとしても、清掃が上手くできない親知らずでは何度も繰り返してしまいます。
特に親知らずの生え方がまっすぐではなく横向きや斜めに生えていると、清掃性が極めて悪くなってしまうのです。
親知らずを抜歯せず治療する
ただ、すべてのケースで抜歯をしたほうがいいとは限りません。歯科医師の判断によっても変わってきますが、親知らずが顎関節症に直接的に関与していないときは、抜歯を後回しにして治療を進める必要がでてきます。
特にまっすぐ生えている親知らずの場合は、他の歯と同様に咀嚼ができるのであえて抜歯をする必要はありません。また、隣にある第二大臼歯に影響を与えてしまう可能性がなければ、抜歯を選択する必要はなくなります。
親知らずを抜歯するかどうかは、歯科医師に相談したうえで決めるようにしましょう。
顎関節症の治療にはどんなものがある?
顎の痛みが、顎関節症だった場合でも、抜歯以外の方法で様子を見ることも少なくありません。抜歯をせずに行う顎関節症の治療方法には、以下のようなものがあります。
・スプリント療法でマウスピースを装着する
・ボトックス治療により、顎関節の負担を減らす
・薬物療法を取り入れ痛みを緩和する
・マニピュレーション療法を取り入れる
・生活習慣の改善をしつつ様子を見る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
スプリント療法でマウスピースを装着する
そもそもスプリント療法とは、就寝中にマウスピースを装着する方法です。
顎関節症で歯ぎしりや食いしばりが起きているときに改善する目的で行われる治療法です。
最も多く使われている治療法としても知られており、左右のバランスを整えていきます。負荷を軽減し、噛み合わせを正しい位置に誘導する役割を持っています。
マウスピースのように簡単に使えるので、寝る前に装着するだけなので簡単です。
治療の目安として、顎関節症が改善され関節の状態が安全になるまで行います。3か月程度様子を見て安定した状態になるように調整していくため、半年程度の時間がかかります。
ボトックス治療により、顎関節の負担を減らす
顎関節症の中で特に筋によって引き起こされるものはボトックス治療が有効です。
ボトックスは、筋肉を抑制するボツリヌス菌の働きによって、顎関節症・歯ぎしり・食いしばりを緩和します。
ボトックスを口の周囲の筋(咬筋)に対して、注射を行い筋を弛緩させて歯ぎしりや食いしばりを防止することにより効果が表れます。
注射後1週間程度で効果が現れ、約3~6か月まで歯ぎしりや食いしばりが軽減します。
投与後3~6ヵ月後には薬物の効果がなくなります。
これに伴って、再度症状が現れる場合には再度注射が必要になることがありますが、1回の注射によって長期にわたり症状が軽減する人も少なくありません。
薬物療法を取り入れ痛みを緩和する
顎関節症の治療法として、薬物治療を行う方法もあります。
関節痛や筋肉痛などの痛みに対して行うものになり、消炎鎮痛薬を使いながら様子を見ていきます。
他にも筋弛緩薬と呼ばれる薬もあり、筋肉の緊張状態を和らげていきます。
ただ、薬物療法の場合は副作用が出てしまうこともあり(個人差がある)、眠気が出てしまうこともあります。
日中に強い眠気を感じてしまう場合は、薬物療法の使い方を寝る前だけにするなど、調整していきましょう。
マニピュレーション療法を取り入れる
顎関節のなかにある「関節円板」の位置に異常をきたしていることも考えられます。
手を使って、正しい位置に矯正していく方法です。口が開かず日常生活に支障をきたしているケースなど、顎に何かしらの不調が出てしまった時に、採用する方法です。
歯科医院によってもやり方が異なり、無理な力を加えるのではなく患者さんの筋肉を使って正しい位置へと整えていきます。マニピュレーション療法は歯科医院によっても対応が異なります。
生活習慣の改善をしつつ様子を見る
顎関節症が原因となっている場合、生活習慣の見直しも欠かせません。
日常的なストレスを軽減させるための根本的な治療はもちろん、適度な運動や姿勢を改善し猫背にならないようにするなど、生活習慣を見直し改善していきます。
顎関節症になってしまう人のなかには、無意識で食いしばりをしてしまい、顎に負荷がかかっていることもあるかもしれません。生活習慣も同時に見直すことで、痛みの原因となる根本から改善していけるようにしましょう。
また、食事で硬いものを噛みすぎている場合も、顎関節症になりやすいといわれているため減らして様子を見ていきましょう。
まとめ
親知らずで顎の痛みが出てしまうときは、顎関節症もしくは歯の炎症が考えられます。
一部の歯に負荷がかかっていないか、顎関節症でかみ合わせが悪くなっていないか確認するようにしましょう。
歯を抜歯するかどうかは、親知らずの状態によっても変わってくるため、一度歯科医院にて状態を確認したうえでどうように治療を進めていくのか決めていくようにしてください。