親知らずの抜歯後に神経麻痺による痛みの原因や対策について
スタッフブログ 2024.09.30
親知らずの抜歯をしたあとに、痛みが出てしまう人も少なくありません。
また、稀にしびれが出ることがあります。神経に近いような位置にある下顎の親知らずの抜歯となると、起こり得る可能性があります。その場合には、抜歯自体について大学病院で静脈麻酔下において行う事が多くなります。
大学病院での抜歯については、入院も伴うものがほとんどであるため、患者さまのスケジュールによっては、一般歯科でそのような抜歯を行ってくれる事もありますが、稀に痺れが出たりします。
痺れも一時的なもので症状が落ち着いてくればいいのですが、なかには「下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)」が原因となっていることがあります。親知らずの抜歯後に考えられる痛みや痺れの原因や、対処法について詳しく説明していきたいと思います。
親知らずの抜歯後にある痛みの神経症状とは
神経麻痺とは
親知らずの抜歯後に、どうして神経麻痺が起きるのか疑問に思っている人もいると思います。抜歯の際に親知らずの近くを通っている神経を圧迫・損傷すると痛みが残ってしまう原因となります。下顎部分には「下顎神経」が通っており、なかでも「下歯槽神経」は親知らずの近くにある神経です。
また、抜歯する歯が2本以上あるときや、親知らずの位置が神経に近い場所にあり、歯の上部を削る必要があると治療も難しくなり神経を傷つけてしまうリスクも高まります。親知らずの抜歯をするときに、神経を傷つけないように配慮しながら行っているのですが、影響を受けてしまうことも考えられます。
神経麻痺は、親知らずの抜歯による要因が一般的ですが、インプラントの治療や下顎の外科手術、良性腫瘍の摘出によって下歯槽神経麻痺になることも考えられます。
親知らずの抜歯の原因である下歯槽神経麻痺とは
親知らずの抜歯後に起きる痛みの原因「下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)」について、詳しく説明します。
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)
下歯槽神経麻痺は、親知らずの抜歯による外科手術を行った際に、骨の中を通っている神経の損傷や圧迫によって起きる神経症状のことです。
神経の損傷部位によっても種類があり、下顎の前方部分が麻痺するのを「下歯槽神経麻痺」といい、舌神経の損傷を「舌神経麻痺」、オトガイ神経を損傷すると「オトガイ神経麻痺」と呼びます。オトガイ神経とは下歯槽神経の末端部に位置している神経のことをいいます。
しびれが出ることはほとんどありません。神経に近いような位置にある下顎の親知らずの抜歯となると、大学病院での対応になる事が多いです。
しびれが起こった場合でも、メチコバールという神経のお薬を飲んで様子を見るか、もしくは大学病院でのフォローとなります。
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)の治療法は?
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)にはどんな治療法があるのか見ていきましょう。
・レーザー治療
・星状神経筋ブロック療法
・薬物療法
・鍼灸治療
それぞれ詳しく見ていきましょう。
レーザー治療
親知らずの抜歯後の神経麻痺の治療に、よく取り入れられるのがレーザー治療です。低出力レーザーを患部に照射したうえで、血流の改善を行います。交感神経を抑制しつつ、患部に起きている炎症を抑える働きもあり、比較的簡単に試せる方法です。レーザー治療を行うと、血流障害の改善や筋肉の緊張緩和などの効果が期待できます。
星状神経筋ブロック療法
星状神経筋ブロック療法は、頭部・頸部・顔面などの痛みを緩和するための治療法です。
星状神経筋に局所麻酔を行うと一時的にゆるみが生じるようになり、副交感神経を優位にしてくれます。緊張状態を緩和し血流の流れをよくすることで自然治癒力を高める目的があります。痛みの症状を和らげる効果が期待できます。
薬物療法
炎症を抑えるために薬を使う治療です。「ステロイド剤」「ビタミン剤」「ATP製剤」などが多く、あくまでも対処療法となります。一時的に痛みを和らげ、炎症を抑制していきます。薬物療法は他の治療法と併用しながら行うことが多いのも特徴です。経過を観察しながら症状に応じて適切な薬物を使い治療をしていきます。
鍼灸治療
症状に適したツボに金属の細い針を刺して体に刺激を与えるやり方です。人間の体にもともと備わっている自然治癒力を高めつつ正常な状態にします。血行が良くなりますし、凝り固まっている筋肉を柔らかくしてくれる効果も期待できます。一度で効果を発揮するものではなく、何回も行い症状の緩和を目指します。細い針を使うため、痛みを感じることも少なく負担になりにくいのも特徴です。
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)を防ぐ歯科医院の選び方
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)を防ぐためには、歯科医院選びが重要です。
できるだけ痛みのリスクを減らすためにも歯科医院を選ぶポイントを紹介します。
・歯科CTなど精密機器を導入しているか確認する
・経験豊富な歯科医師のもとで治療する
それぞれ説明していきます。
歯科CTなど精密機器を導入しているか確認する
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)を防ぐためには「歯科CT」のように精密機器を導入している歯科医院を選ぶのをおすすめします。
下歯槽神経は親知らずの根っこ部分の近くを通っている太い神経です。一般的なレントゲンで撮影しても位置関係のすべてを把握することはできません。親知らずが埋まっているときや位置が近いと気を付けていても損傷の原因となってしまうことがあります。
歯科CTを導入している歯科医院だと、3次元的な立体画像として情報を確認できます。親知らずがどの位置にあるのか、歯根の形や神経を正確に判断できるようになります。真っ直ぐ生えていない親知らずの状態も確認できます。歯科CTなど精密機器を導入しているかどうか、歯科選びの一つの基準として覚えておきましょう。
経験豊富な歯科医師のもとで治療する
親知らずの抜歯で神経を損傷・圧迫しないように、経験豊富で専門的な知識や技術を持った歯科医師のもとで処置してもらうようにしてください。
下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)にならないようにするためには、手術の前の段階でどんなリスクが起きるのかを把握し対処できる技術が欠かせません。また、舌側歯肉にも注意を払い傷つけないような対策をします。親知らずの抜歯といっても歯科医院によってさまざまです。確かな知識を持った歯科医師のもとで治療を行うことが大切です。
まとめ
親知らずの抜歯後に、痛みの症状が治らないときは下歯槽神経麻痺(オトガイ神経麻痺)の可能性が考えられます。精密機器や経験豊富な医師のもとで親知らずの抜歯を行うのはもちろんですが、少しでも違和感があれば痛みをそのままにせず歯科医院を受診するようにしてください。