虫歯とは口の中の細菌が糖分と共に「酸」を作り、その「酸」で歯が溶けてしまう病気です。
口内のPH値(※)は通常時ですと6.7程度ですが、糖分やストレスの影響により5.5以下に下がった状態が続くと、歯に穴が開いてしまいます。
菌虫歯の原因となる菌はミュータンスレンサ球菌と乳酸桿菌がその代表的な菌とされています。ともに砂糖から主として乳酸を作る能力を持った菌です。またミュータンスレンサ球菌は水に溶けない歯垢(プラーク)を作る能力を持っています。このように細菌によって作られた酸によって歯が溶けてゆきますが、初期の段階では溶けた部分が元にもどることがわかっています。この現象を再石灰化と呼んでいます。
虫歯が歯の表層に限られる場合(C0の状態)は、削らず再石灰化を期待します。
虫歯が大きくなり歯髄(しずい)に到達する前の場合(C1~C2の状態)は、虫歯になってしまった部分を削り詰め物をする治療を行います。
虫歯がさらに進行して歯髄に到達した場合(C3の状態)は、歯髄を除去(抜髄[ばつずい])する必要があります。抜髄は一般的に「歯の神経を抜く」と表現されることがあります。その場合の多くは土台をたててかぶせ物をする治療が必要になります。
そして、虫歯進行の最終地点、歯髄まで腐ってしまった場合(C4の状態)は、歯を抜く(抜歯[ばっし])することになります。
むし歯の進行状況によって治療方法は様々です。
以下のチャートをご覧ください。治療方法は大きく分けて4つに分かれます。
【虫歯の治療法①(C1の状態)】:削ってプラスチックで埋める
この中で、もっとも軽い治療方法は、「削って詰め物をする」というものです。軽度な虫歯であれば、この方法だけで済みます。
まず虫歯になってしまったところを削って取り除きます。その削った部分に詰め物をしていく治療方法です。この「プラスチック」とは、「レジン」という素材のことです。虫歯治療で使われるのは、光を当てることによって固まる性質を持ったレジンです。虫歯を削り、削ってできた穴にレジンを詰めます。
虫歯治療で使用するレジンにはさまざまな色があり、患者様の歯に最も合った色を選んで使用します。
【虫歯の治療法②(C2の状態)】:削って詰め物を詰める
虫歯が中くらいの場合はプラスチックで詰めるだけでは不十分の場合があります。しっかり削って型取りをし、詰め物を作る必要があります。
虫歯を削って型取りまで進んだ場合は、その後型取りで取った歯型をもとに詰め物を作っていき、詰め物が完成するのには通常1週間ほどかかります。
詰め物が完成すればあとは虫歯を削った部分に接着剤でつけて、かみ合わせなどを調整すれば終了です。ゆえに通院は最低2回必要になります。
歯型をもとに作る詰め物は、素材でさまざまな種類があります。保険治療のものと自費治療のものがあります。
基本的に銀色の詰め物なら保険治療、見た目の良い白い詰め物だと自費治療となり、歯科医院によってかかる費用は変わってきます。
ですが、保険内でも白い詰め物(CADCAM冠、CADCAMインレー)もありますので歯科医師とご相談の上決めて頂けます。お気軽にご相談くださいね。
【虫歯の治療法③(C3の状態)】:神経を抜いて被せ物をする
削って詰め物をするだけでは足りない場合、歯を削った上で歯の内部にある神経を抜き、被せ物をする治療法になります。
神経まで虫歯が広がっていても、歯自体は残せそうなら神経の治療をします。この場合は強い痛みを感じていることが多いです。神経と言っても、実際には血管なども通っているため、虫歯菌に犯されると神経全体が一気に悪くなってしまいます。そのため、神経を抜かざるを得ないのです。
神経を抜いた後は消毒をし、細菌がいなくなるまでこの治療を続けます。そのため神経の治療は何度か通院が必要です。また、神経を抜くには歯に大きな穴を開ける必要もあります。最終的にその穴にゴムや水酸化カルシウムを含む材料を詰めて、再び感染が起こらないようにします。ちなみに、神経を抜いてしまうと、その歯自体がもろくなってしまいます。そのため、当院ではできる限り神経を残す治療を心がけています。
一般的にはその歯髄の入っていた穴に金属やレジンで土台をたてて、その土台の上にかぶせ物をするという治療が行われます。歯をただ削るだけでなく神経を抜くことになるので、かなり重症な状態と言えるでしょう。
【虫歯の治療法④(C4の状態)】:抜歯(ばっし)
虫歯治療の最後が抜歯です。つまり、歯を抜くことです。
歯全体が悪くなってしまい、神経も虫歯菌で犯されているような状態です。
1本の虫歯が他の歯にも悪影響を及ぼす場合なども、抜歯することがあります。
虫歯がかなり進行し、歯の根っこ部分しか残っていなかったり歯を残すのが難しいという場合は抜歯になります。
状態が良ければ、その部分を今後入れ歯にするかインプラントにするか、それとも周りの歯を削ってブリッジにするか・・・歯科医師と相談し、治療を始めていきます。
虫歯の治療方法や詰め物になるか被せ物になるかなどは、虫歯の範囲の大きさ、虫歯菌がどこまで進んでいるかによります。当院では早期発見のために、3か月に1回の定期検診をおすすめしています。