『大切な歯を失う前に一度ご相談ください』
当院では診療チェア17台に位相差顕微鏡(いそうさけんびきょう)と呼ばれる解像度の高い顕微鏡を完備しております。細菌や微生物の種類を確認する検査ができます。※
位相差顕微鏡は全部で19台完備しております。
※無料で検査ができます。
歯周病とは?
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。「プラーク(歯垢)」という、歯にくっつく細菌の塊により引き起こされます。プラークにより歯ぐきに炎症が起こると、歯と歯ぐきの境目の溝(歯肉溝)が深くなって、いわゆる歯周ポケットができます。
このポケットの中にまでプラークの細菌が入り込んでしまうと、歯茎の深い部分にも炎症が広がります。やがて炎症は歯を支えている骨(歯槽骨)などの組織に近づき、骨が吸収されていきます。症状の進行とともに歯がぐらついていき、最終的に抜けてしまいます。ただ歯周病菌がわずかでもいれば必ず発症するわけではなく、歯周病菌がはびこりやすいような環境や条件があったり、歯周病菌に対して体が弱いというようなことが重なることによって発症、進行すると言われています。
プラークとは?
歯の表面に見られる付着物のことで、以前から「歯垢」「歯苔(したい)」とも呼ばれていました。しかし、その後の研究によって、プラークは歯の汚れや垢というよりも、細菌がパックされてものであることがわかりました。つまり、プラークはむし歯や歯周病の原因となる細菌の塊ということです。
プラークは細菌の塊と述べましたが、プラーク1㎎あたりには10億個もの細菌が存在するといわれています。つまようじの先に目に見える程度のプラークを取ると、そこにはおそらく数百億個の細菌がくっついていることになります。
歯周ポケットとは?
歯ぐきのあいだが、プラークの細菌により炎症をおこし深くなった溝のことです。 健康な歯ぐきでは、この溝の深さは1~2mm程度ですが、この溝にプラーク(歯垢)がたまり、プラークの細菌により歯肉が炎症を起こし腫れていき、溝が深くなります。
歯周ポケットの内部は、酸素の少ない状態なので、酸素の多い環境が苦手な歯周病菌が繁殖しやすく、深いポケットの内部では歯周病原菌の繁殖はさらに進むことになります。
歯周病の診断には、目盛りのついたポケット探針で歯周ポケットの深さを測定し、炎症の進み具合を確認します。健康な歯肉の状態であれば3mm以内ですが、4~5mmのだと初期の歯周病、6mm以上で重度の進行した歯周病と判断します。
歯周病菌がはびこりやすい条件とは?
歯並びが悪かったり、たくさんの修復物がお口の中にあると歯磨きがうまくできないために歯周病にかかりやすくなります。喫煙者や糖尿病の方は数倍歯周病にかかりやすくなります。また、生まれつきの歯周病に対しての免疫細胞が弱かったり、逆に自分の体を傷つけてしまうことが最近分かってきました。
歯周病の症状は?
歯周病の多くは無症状です。また、症状の強さと実際の進行度が一致しないこともあります。歯根全てが歯周病菌に侵されると骨がなくなり、歯が抜け落ちてし まいます。歯周病の症状は大きく分けると歯茎に炎症があることによる症状と歯を支える骨が溶けることによる症状があります。
- 起床時に口に中が粘つく
- 口臭がある
- 歯ぐきが腫れている
- 歯ぐきがムズムズする
- 歯を磨くと出血する
- 水を飲むと歯がしみる
- 歯が長くなった
- 食べ物が歯にはさまる
- 固いものが噛めない
- 歯がぐらつく
- 歯ぐきを押すと膿がでる
あなたのお口のこんな症状はありませんか?もし心辺りがあったら歯周病かもしれません。
中高年で歯を失う原因の半分は歯周病です。
歯周病予防にはこちらの機器を使用します。
エアーフローマスター
歯周病進行の流れ
(1)初期
歯の根元に少し歯垢や歯石がついている状態です。
歯肉は歯にぴったりとくっ付いています。
自覚症状はありません。
(2)歯周炎
歯と歯肉の間に歯垢や歯石が溜まり、その部分の歯肉が炎症を起こし赤くはれている状態です。
歯を磨くと出血します。歯を支える骨はまだ正常です。
(3)中等度歯周病
歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)は深くなり、炎症は広がり歯の周辺の歯肉も赤く腫れている状態です。
出血・講習・起床時の不快感があり、歯を支える骨が溶け出して歯がグラグラしてきます。
(4)重度歯周病
歯肉が化膿し腫れて膿も出る状態です。
歯を支える骨は溶けてなくなり、グラグラ動き、ついには抜けてしまいます。
歯周病の治療の流れ
当院では、お口の中の細菌の状況に応じた歯周病の治療を行っています。
(1)歯周検査を行います。
歯周病の治療を適切に行うには、歯肉や顎の骨などが今どのような状態にあるかを見極めなければなりません。治療方針を決める上で欠かせない重要な検査です。
- 歯周ポケットの測定、歯肉からの出血
プローブ(目盛りのついた探査用の針)で、歯と歯茎の溝(歯周ポケット)の深さを1か所~6か所測ります。先端が丸い器具なので少しチクチクする程度のみです。歯周ポケットを測定の際に出血することがあります。出血は、そこの部に炎症があり証拠になります。 - 歯の動揺度
ピンセットで歯を動かしグラグラの度合いを調べます。 - プラーク(歯垢)の付着状況
歯面のプラークの染め出し、付いているプラークの量をチェックします。 - レントゲン写真
顎の骨の溶け具合がわかります。 - 口腔内写真
肉眼で見た口の中の状態がわかります。 - 位相差顕微鏡
位相差顕微鏡による歯周病の検査を行います。
(2)歯周病原菌やカビ菌を退治します
必要に応じて、抗生物質の内服と、カビ取り歯磨剤での歯磨きを行います。
(3)歯の表面の歯石を取り除き、ブラッシング指導を行います。
歯肉の上にあるプラークを取り除きます。
プラーク(歯垢)と歯石の違いを簡単に言うと、丁寧に歯磨きをすれば取り除けるのがプラーク(歯垢)で、歯磨きだけでは取り除けないのが歯石です。
歯石は、歯石の表面は粗く、さらにプラークを呼び込み、大きな塊にしていく性質を持っています。また、さらにプラークが付着していくという悪循環が生まれます。プラークが付着してから4〜8時間くらいで生成されはじめるといわれおり、2週間くらいかけて石灰化します。特に、歯肉縁下に付着する歯石は硬く強固に付着してしまいます。
プラークには、歯ぐきより上の部分にくっつく「歯肉縁上プラーク」と歯周ポケットの奥深くにくっつく「歯肉縁下プラーク」があります。「歯肉縁上プラーク」は細菌の塊で、歯肉炎を引き起こします。一方、「歯肉縁下プラーク」は歯周ポケット内でバイオフィルムを形成し、その中で歯周病原菌という特別な細菌が増殖し、そのいくつかが集まって歯周組織を破壊します。
ご自身でのブラッシングだけでは歯石は除去できません。特に、歯肉縁下に付着する歯石は、歯ブラシは届きませんので除去不可能です。もちろん、このような歯石になる前の、初期の段階のプラークで取り除く事は十分可能です。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、丁寧にプラークを取り除く事が大切です。お家での毎日のセルフケア方法でわからないことがあれば、歯科医師・歯科衛生士にお気軽にご相談下さい。
(4)歯周ポケットの中の歯石を取り除きます
歯肉の下にあるさらに奥の歯石を取り除く、歯ぐきの大掃除を行います。
歯石とひとことで言っていましたが、じつは「歯肉縁上歯石」と「歯肉縁下歯石」の2つがあります。「歯肉縁上歯石」は、黄白色をしており、成長すると数本の歯にまたがって形成され、大きな固まりとなります。「歯肉縁上歯石」は歯とくっつく力が弱く、スケーリングによって簡単に除去できます。一方、「歯肉縁下歯石」は褐色や暗褐色のものが多く、強く石灰化していて非常に硬いのが特徴です。「歯肉縁下歯石」はセメント質にがっちりくっついているので、簡単には除去できません。歯周病が広範囲に及んでいる場合は、プラークや歯石は一度では取り切れませんので、4~6回に分けて除去します。
それでも歯周病の改善が見られない場合は、外科的手術が必要となります。
※その後、むし歯やかみ合わせなどの治療を行います。
(5)定期検診にて、歯周病の再発を予防します
ひととおり処置が終わったら、歯ぐきの傷が塞がるまで期間をおいてから再検査をします。その時に、歯周ポケットがなくなったり、出血がなければ、ひとまずは治癒したといえます。
その後は、2~3か月に一度のペースでメンテナンスっを行って、歯周炎が再発していないかをチェックしていきます。きちんとブラッシングができているかを確認したり、歯のクリーニングをします。治療の効果は患者様の日々のブラッシングの質に大きく左右されます。歯周病の治療は、患者様の協力があって初めて成り立ちます。一緒にいつまでも健康なお口を作っていきましょう。
歯周病と全身との関わり
歯周病は、歯とお口の健康だけではなく、全身の健康に深く関わっていることがわかっています。なかでも歯周病と糖尿病との関連が高いものとして知られています。
糖尿病は糖代謝異常により高血糖状態となる代謝疾患であり、国内の患者数が多い疾患の一つです。糖尿病による免疫機能の低下から易感染性(感染しやすい状態)となることで歯周組織の炎症が進み歯周病が悪化することから、歯周病は糖尿病の合併症としても認識されています。
歯周病は自覚症状の乏しい病気ですので、定期的に検診を受け、常に良い状態を保つようにしましょう。